箕輪町文化センター付属 劇団 歩
第8回定期公演
まほろば(作 蓬莱 竜太 演出 飯島 岱)
公演日:平成24年6月16(土)、17日(日)
岸田國士戯曲賞受賞作品、待望の上演!
4月15日前売り開始!
来年創立10年を迎える箕輪町文化センター付属 劇団 歩は2月に発表した三輪はじめ作『れい子』(第7回定期公演)に続いて蓬莱竜太作『まほろば』(第53回岸田國士戯曲賞受賞作品)を第8回定期公演として上演します。
作品について
本作品は2008年に新国立劇場の演劇企画「シリーズ・同時代」の第3弾として上演され、翌年、第53回岸田國士戯曲賞を受賞した作品です。
出演は、劇団歩の大畑千穂、中村香理、原涼音、松崎七海と劇団南信協同から林さゆり、芝居の会から上田信子が加わり10代から70代までの6人の女たちを演じます。
時に笑いあい、時に泣き、時にバトルを繰り広げる、愛情溢れる「家族」達。母として、娘として、そして女として、彼女たちに迫られる選択とは…。
上伊那の現代演劇を担う実力派女優陣が火花を散らす、演劇の醍醐味いっぱいの舞台を、存分にお楽しみください。
あらすじ
物語の舞台は、とある田舎町の旧家。祭りの午後。男たちは神輿担ぎで外に出払いっている。 宴会準備に忙しい母ヒロコ(林さゆり)。何故か本家の大婆様タマエ(上田信子)と一緒に居間にいる村の娘マオ(原涼音)。そんな最中の前夜には40代未婚の長女ミドリ(大畑千穂)が、そして今日は次女キョウコ(中村香理)の娘ユリア(松崎七海)が相次いで東京から帰ってきた。男関係に疲れた末の帰郷らしいのだが…。 「わたしはよかと思いますよ。こん家がむすこの代で終わっても。今時そぎゃん事で目くじら立つっともね 流行らんでしょ」とタマエに言われても、自分が男子を産めなかった負い目からヒロコは「でもわたしはそげんじゃなかですけん。わかってらっしゃらんとです」と、本家のお家断絶を阻止するためにミドリに婿取りを容赦なく迫る。ミドリはキョウコを盾に母親のこうした追及をかわそうとし、挙句にユリアを巻き込んだ姉妹間の激しいやり取りが勃発するのだ。
「何で皆さんそんげん上手くいかんとですか?男性と。揃いも揃って。私、上手くいったとよ。
お父さんと。時代の所為?教育の問題?じゃなきゃ何ですか?アメリカの悪かワケ?」
はちゃめちゃなヒロコの発言にタマエ、マオも参戦か…!
コミカルで、はちゃめちゃ大騒動劇…
神輿担ぎの男達の掛け声が迫りくる中、4世代6人の女たちに未来はあるのか…?
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本作品が舞台として設定したのが「都会」ではなく、とある「田舎の旧家」であることに意味があると思います。
神輿担ぎという伝統文化に魂を揺さぶられる男達は声々としてのみ登場し、4世代に亘る10代から70代までの6人の女たちだけが登場します。
宴会の準備をして男達を待つ女たちは、母として、娘として、女として生理、妊娠、閉経等、
「女性の体の問題」をモティーフに、本家の"後継ぎ問題"を前提として「家族」とは、「家」とは、「本家」とは等々、赤裸々な本音がコミカルにぶつかりあいます。それは、まるで「若い世代から旧世代への反乱の芽」であるのですが、本作品はそのことをテーマにしていません。むしろ「女としての本能」つまり「授かった命」、「次世代へ命を繋ぐこと」の意味をさりげなく提示していきます。
が、現実には授かった命は…五体満足な子供だけでなく、様々な負の要因を持つ子供も授かり、且つ、必ずしも男、女として産まれてくるとは限りません。人類の誕生以来、常に禁忌とされてきたのですが、近年、インターセックス−又、この性質を持つ半陰陽者−、更に性同一性の問題も声高に(いや、小声で)語られる時代になりました。
大多数の人間は前世代の歴史(過去)を受け継ぎ、今(現在)を生き、次世代(未来)へ歴史として継いでいくのだと信じています。
実は、歴史(過去)には必ず様々な「何故?」があります。それら大小様々な「何故?」を考え始めることが「歴史は自動的に続いているかに見えるが、個々が自らの「言葉」と「意思」と「選択」をし続けること(現在)で初めて歴史は生き、鼓動を続けていけるのだ」と気付かせてくれます。
それこそが、単なる「ある田舎の旧家の家族劇」でなく、「過去−現在−未来」を「生きる人間の在り方」という本作品の本質的なテーマであると思います。
今回もこの永遠なるテーマ―を演じようと、舞台美術は第4回定期公演「POI ZONE」(三輪はじめ作 2009年)に続いて中央で活躍されている和田平介さん。
出演者は箕輪在住者を含め、伊那市の団員と劇団南信協同、芝居の会の役者も加わって熱心に稽古に励んでおります。
皆様には取材を含め、前回同様今回もご支援を賜りますようお願い申し上げる次第です。
演出 飯島 岱
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